牛乳、乳製品の摂取が多いほど、骨粗しょう症になる?

2017年1月12日

前回、乳製品摂取量が多い国ほど、骨粗しょう症の発症頻度が高いという
『カルシウム・パラドックス』についてお伝えしました。

今回はなぜ牛乳(乳製品)が骨粗しょう症の予防にならないか、ということをお話しします。下図は、カルシウム摂取量と尾骶骨骨折のリスクとの相関関係を示したものですが、カルシウム(Ca)を牛乳や乳製品で多く摂ったからといって、骨粗しょう症が予防できるわけではないことを示しています(相関関係はない)。

 

カルシウムパラドックス

カルシウム摂取量と尾骶骨骨折のリスクとの相関関係

J Nutr.1986 Nov. 116(11):2316-9

 

 

Caは99%が骨に、0.1%が血中に存在していることからも、Caが骨にとって重要な栄養素であることには変わりがありません。ではなぜ乳製品を多く摂っているのに骨粗しょう症を予防できないのでしょうか?

 

その前に、Caの重要性について一つお話しします。
Caは身体の重要な機能に関わるスイッチとして働いていて、筋肉や心臓が動くのも、血圧をコントロールするのも、受精においても、ホルモン分泌においても、Caはあらゆるところで、スイッチ役となっているんですね。

そのために、Caの血中濃度は厳密にホメオスタシス(恒常性)によって保たれており、細胞内外のCa比は1:10000に保たれています。この状態の時、Caはスイッチとしての優秀な性能を果たす事ができるのです。

さて、牛乳(乳製品)の話に戻りますと、牛乳にはCaが他の食品と比べ、多く含まれており、吸収率も優れています。しかし、摂取により血中Ca濃度が急激に上昇します。すると、Caの体内比が崩れスイッチとしての性能が悪くなるのです。

結果、心臓発作や筋肉の収縮異常(肩こり・こむら返り)の原因となります。
また、牛乳(乳製品)は動物性たんぱく質です。動物性たんぱく質の多い食事をとると、体内は酸性に傾きます。この酸を中和しようと、骨中のカルシウムがアルカリ成分として動員されます。その結果、骨粗しょう症を招いてしますのです。

 

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このことにより、骨粗しょう症の予防に重要なのは、
『カルシウムを多く摂ることではなく、骨からカルシウムが失われるのを防ぐこと』。

対策としては
①Ca濃度がゆっくり上昇する食事、牛乳よりむしろ濃緑黄色野菜をとること。
②カルシウムだけのサプリメントや牛乳に頼らないこと。
③そして、マグネシウム不足にならないようにすること。

ちなみに牛乳はCa:Mg=11:1と両者のバランスが極めて不均衡なんですね。
なので、理想はCaとMgのバランスを1:1にすることです。

ここで誤解してほしくないのは、
牛乳や乳製品を絶対摂ってはいけないのではないということです。
(もちろん、アレルギーや、その他の不調、疾患で治療中の時は摂取は避けます)

実際私は、少量の牛乳やチーズなどは食べます。
Mgとのバランスを考え、体内が酸性に偏らないように食事を工夫するなどして、食事は楽しむことにしています^^。

何事もバランスです。
あれがダメだからといって、全てを排除するなど極端に走らないことも人生を楽しむ上では大切なのではないでしょうか?

カテゴリー: コラム
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